“いつまでも元気で活動的な身体を、なんでもおいしく食べられる丈夫な胃腸を、保っていたい”
健康に関心が強い方にとっての願いを簡潔にまとめると、こういったことではないでしょうか。幸せな毎日に健康は欠かせません。
そんな健康に対する効果が高い食材の代表が「蕎麦」です。しかし実際のところ、蕎麦の健康効果とはどういったものなのか、知っている方は少ないのではないでしょうか。
そういった方へ、この記事では蕎麦に含まれる豊富な栄養素や、ダイエットに効果的な理由もあわせて、ご紹介します。
1.実は蕎麦には豊富な栄養素が含まれています!
蕎麦といえばヘルシーというイメージを持つ方もいらっしゃると思います。では具体的に、蕎麦に含まれる健康効果の高い栄養素をご紹介します。
1-1. 蕎麦に豊富に含まれてる”ルチン”や”カテキン”とは?
ポリフェノールは、今や私たちの健康の、大切なパートナーと言っても過言ではありません。抗酸化力が強く、動脈硬化などの生活習慣病予防に効果的と言われています。
そんなポリフェノールの一種が、蕎麦に含まれるカテキンやルチンです。
緑茶の苦み成分の元となるカテキンは、殺菌効果や抗酸化力が高く”第7の栄養素”とも呼ばれるフィトケミカルのひとつです。
蕎麦にはこのカテキンが豊富に含まれています。カテキンの抗ウイルス・抗菌作用によりノロウイルスなどの感染性胃腸炎や、O-157予防に効果を発揮します。他にも食後の血糖値上昇を抑えるため、肥満予防に効果的です。
そしてルチンは、フィトケミカルの中の色素成分を担うフラボノイドのひとつで、以前は”ビタミンP”と呼ばれていました。
ルチンには、毛細血管を強くし、血流を良くする効果があります。「蕎麦といえばルチン」と言われるほど、蕎麦に含まれる健康成分の代表的なイメージがあるでしょう。
ルチンは脳梗塞や心臓病などの血栓が原因となる病気の予防に効果的です。他にも、アルツハイマー型認知症予防や糖尿病などの生活習慣病予防、ビタミンCの吸収を良くすることから、美肌にも効果があると言われています。
ちなみに、蕎麦1人前で一日に必要なルチンを摂取することができます。しかし、蕎麦に含まれるルチンの量は、北方の寒い地域で育った蕎麦よりも、南方の暖かい地域で育てられた蕎麦の方が多いことがわかっています。
また、過酷な環境で育てられた蕎麦の方がルチン含有量は多く、秋よりも夏に育てられる蕎麦の方がルチンは豊富に含まれているそうです。
1-2. コリンは肝機能に良い?
蕎麦に含まれるコリンは、ビタミンの働きを助け補助的な働きをするビタミン様物質に属します。
コリンは、脂質の代謝やコレステロール値の抑制に効果を発揮するため、高血圧予防に効果的です。この効果の最たるものは、肝臓に脂肪が沈着するのを防ぐ”脂肪肝予防効果”でしょう。腎臓の働きを助ける効果もありますので、この相乗効果でお酒を飲む方にオススメです。
他にもコリンは脳の活性化に役立ち、記憶力の低下やアルツハイマー型認知症に効果的と言われています。
1-3. 蕎麦の食物繊維は食品の中でトップレベル
蕎麦には、食物繊維が豊富に含まれています。健康食品に必ずと言って良いほど含まれている食物繊維は、糖の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑えてくれる効果があります。
そんな食物繊維には、2種類があります。海藻や野菜の粘り成分に多い”水溶性食物繊維”と、文字通り食物の繊維のような食感を生み出す”不溶性食物繊維”です。
蕎麦に多く含まれるのはこのうちの”不溶性食物繊維”です。便通改善に効果を発揮し、整腸作用があるため、大腸ガンの予防にも効果的であり、便秘で悩む方の強い味方でしょう。胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外に排泄する効果も期待できるので、脂肪吸収抑制効果や悪玉コレステロール除去にも効果的です。
また、胃腸内の掃除をしながらゆっくり移動するため満腹感が続き、食べ過ぎ防止につながることから、ダイエットに利用されます。
1-4.タンパク質は精白米の3割以上
蕎麦には、筋肉を作る元となるタンパク質が豊富に含まれています。その割合としては、同じ炭水化物である精白米の9.2%と比べると、12.1%と3割以上も多く含まれているのです。このタンパク質量は穀物の中でもトップクラスを誇ります。
そして蕎麦に含まれるタンパク質は必須アミノ酸を含んでいます。このアミノ酸バランスがとても優れている点もポイントです。このことから、蕎麦は非常に良質なタンパク質を含んでいると言えます。
2. ダイエット効果も期待できる
蕎麦にはこのように様々な健康効果がありますが、ダイエットにも有効な成分が含まれています。
2-1. 蕎麦は炭水化物ですが…
しばしばダイエットの天敵のように扱われる炭水化物ですが、蕎麦も炭水化物のひとつです。炭水化物は糖質と食物繊維で構成されていて、蕎麦は炭水化物の中でも食物繊維が多く含まれているという特徴があります。
同じ炭水化物であるうどんやパンは小麦粉から作られています。しかし、蕎麦は食後の血糖値上昇を防ぐ”低GI食品”であるそば粉が主な原料です。つなぎとして小麦粉を使用する二八蕎麦でも、8割がそば粉から作られています。
これらのことから蕎麦は、比較的太りにくい炭水化物だと言われています。
2-2. ビタミンが豊富に含まれている
蕎麦に豊富に含まれているビタミンはビタミンB1・B2です。
ビタミンB1は糖質の代謝を促す働きをしますので、糖質を効率よくエネルギーに変えてくれます。代謝された糖質は身体に溜まらず、脳の活動や筋肉の働きを正常に保つことに役立ちますので、ダイエット中の方には積極的に摂っていただきたい成分です
またビタミンB1は、疲労回復にも効果を発揮します。ビタミンB1が不足すると体力の低下を招き、食欲不振の原因になる可能性があります。
そしてビタミンB2には、糖質や脂質・タンパク質の代謝を助け、新陳代謝を促進する働きがあります。
そのためダイエットに必須なビタミンです。筋肉や髪・皮膚を作るなど、健康な身体の成長や維持に欠かせません。ビタミンB2が不足すると、肌荒れや口内炎の原因にもなります。
ビタミンB1・2はダイエットに欠かせないビタミンです。上手に利用して、蕎麦ダイエットに活かしましょう。
2-3.消化酵素が豊富に含まれている
炭水化物の中でも食物繊維が豊富な蕎麦は、ともすると消化に悪いのでは?と思われがちです。しかし蕎麦には消化酵素が含まれていて、さらに蕎麦のデンプンは糊化温度が低く、水でも溶けやすいという特徴を持っています。
このふたつの効果で、蕎麦は温かくても冷たくても消化が良く、胃腸が悪い時でも胃にやさしい食材とされています。
蕎麦に含まれる消化酵素により消化を促進されます。そのため、私たちの体内にもともと持っている消化酵素は消費されません。その分、体内の代謝酵素が活発に働くので、自然と痩せやすい身体に近づいていくことができ、ダイエットにも効果的です。
3.蕎麦を食べるときのコツとは?
こんなに健康効果が高く、ダイエットにも効果的な蕎麦ですが、食べ方に工夫をすることで、その効果を余すところなく吸収することが出来ます。
例えば蕎麦にはビタミンAやビタミンCが含まれていないので、これらのビタミンが含まれている野菜を一緒に摂ると、ビタミンバランスが良くなります。
特にルチンはビタミンCと相性抜群なので、蕎麦を食べるときは是非ビタミンCを意識して摂りましょう。大根おろしが添えられた「おろし蕎麦」は、ビタミンCと消化酵素を一緒に摂れるので、オススメ食材のひとつ。ルチンは水溶性で水に溶けやすいので、そば湯もぜひ頂きましょう。
他にも蕎麦に相性の良い食材としては、葱・わさび・山芋・海苔やわかめなどがあげられます。葱はビタミンB1の吸収を良くし、わさびはビタミンB2の吸収を助けます。
また蕎麦には不溶性食物繊維が多く含まれていますが、不溶性食物繊維は胃や腸の水分を吸収するので、便が固くなりがちです。この症状を緩和してくれるのが水溶性食物繊維をバランス良く摂ることで、不溶性と水溶性食物繊維を8:2ほどの割合で摂ると良いと言われています。
山芋・海苔やわかめなどの海藻類には、水溶性食物繊維が多く含まれています。ぜひ蕎麦と一緒に頂きましょう。
4. まとめ
健康は毎日の積み重ねが大切です。世界には健康効果の高い食材がたくさんありますが、あまりに高価であったり入手困難な食材であったりすれば、続けることすら難しくなってしまいます。
その点蕎麦は手軽に手に入れることができ、特殊な蕎麦でなければお求めやすい価格なので、毎日続けるのに最適な健康食です。
古くから親しまれる蕎麦は日本の伝統食ですが、健康食としてもとても優秀です。日本のスーパーフードと言っても良い食材として、強くオススメします。